等身大の72%

筆者自身の7割2分ぐらいの力が入っている。ジャンルとか更新間隔とかには縛られない。

新しいブコメのタグ[誤謬]を追加した

誤謬とは何か?

論理学における誤謬(ごびゅう、英: logical fallacy)は、論証の過程に論理的または形式的な明らかな瑕疵があり、その論証が全体として妥当でないこと。つまり、間違っていること。

ja.wikipedia.org

Wikipediaの通り。妥当でない言明を含むエントリは、たとえそれがみんなが盛り上がっているエントリであっても[誤謬]タグをつけたブコメをするようにした。

ここで使った「妥当」とは、ある命題について「前提が全て真なら帰結も真である」ことを意味する用語である。
一般的な意味での妥当とは少し意味が異なるので注意。ここでは「前提が真であるなら」という言葉が入っていることがみそで、例えば

「4の倍数は2で割り切れる」は妥当な言明である*1

だが次の例はどうだろう:

「すべての偶数が3で割れるなら偶数は6の倍数である」

この前提は偽である。しかし前提が真なら帰結も真なので「妥当」である*2
このように「妥当」とは前提の真偽はさておいて、論証の形式の如何について論じるものであることに注意。

例えば?

ホットエントリであっても案外その言明が妥当でないことがある。

わかりやすいもので言うなら例えばこれとか。

まず、その人の考えやイデオロギーが自分と異なるから間違っていると言いたいわけでないことに注意。あくまで論理的な話のみである。


この中で誤謬といえるのは

男子校はみんなで男になろうとする。

男子が集まって生まれるのはジェンダーによる結束

の部分。

一行目は明らかな誤謬。
なぜなら全数調査も行っていないのに、
みんなという言葉を用いた命題はすべて妥当でないからである(その対偶を示すにしても、「みんなそうでないもの」の全数調査が必要となる)。
つまり「早まった一般化」*3に該当する*4

加えて二行目の帰結は一行目と全く関係がない上にその論証が書いてもない。
よってこれは全体として妥当でなく、誤謬である*5

この言明が全体として健全であるためにはどうすればよいか?

しかし、まだチャンスはある。私は、このエントリが妥当であるだけでなく健全であることを意図して書いたものとおもわれたので、どうすればこれが全体として健全となるかについて考える。ただし、一行目から二行目の間には論証の欠落があるので私が良いと思われる論証を補って示す。

答えは簡単で、これが全体として真、つまり健全であるためのレシピは以下の通り。

1. 「男になろうとする」「集まって」「ジェンダーによる結束」の意味を明確に定義する
2. 男子校生徒の全数調査を行い、一行目の言明が真であることを示す
3. 命題「男子校では生徒が集まっており、かつ男になろうとするものの集まりはすべてジェンダーによる結束をしている」の妥当性を示す

これだけである。

なぜこのタグを?

全ての人々の言説が論証を意図したものとみなすには無理があるとは理解しているが、
私自身かなりこういった類の誤謬を含んだ言説を目にする。

かといってインターネット上には膨大な情報があるがそれが誤謬であるかどうかをいちいち判断するのはなかなか難しい。

私自身インターネット上の巨人の肩の上に載らせてもらって様々な情報の真偽を判断させてもらったので、
今度は私自身がその巨人の小さな踏み台を提供できればいいなと思ったからである。

運用の方針

形式としてはブコメ本文にそのエントリが陥った誤謬の種類を書くようにし、必ずタグ[論証]を追加します。

もちろん私が間違っていることも多くあると思うので指摘をお願いします。

*1:この場合、前提「4の倍数がある」は虚無に真である。このように前提が真であり、かつ命題が妥当であることを「健全」という

*2:ただし前提は偽なのでこれは健全でない

*3:早まった一般化 - Wikipedia

*4:「主語がでかい」というやつである

*5:いうまでもなく健全ですらない